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目標設定のやり方詳細【マネジメント】

こんにちは。

最近自分で手を動かすだけでなく組織のマネジメントを本格的に行うようになったので、方法を明文化していっています。
今回と次回では仕事をする際に必ずはじめに取り掛かるべき仕事、「目標設定」と「現状把握」について触れます。
なぜこれらをはじめに行うべきかというと、仕事というのは現状と目標のギャップを埋める行動だからです。つまり目標と現状が明確でない状態で行っている仕事は、行き先がわかってない状態で旅に出ているのと同じで、うまくいくかどうかがわからないどころか、何を持ってうまくいっているかも判断できないという完全迷走状態への第一歩です。そういう場合大体ちょっと進んだところで、「あれ?私何やってるんだっけ?」となります。

では目標設定と現状把握はどちらから行うべきでしょう。答えは目標設定です。なぜなら、現状把握といっても何の現状を把握すべきか最初はわからないので、先に目標を定めて、そこと比較して今がどうか、という観点で見る必要があるからです。
例えばいきなり「現状はどうですか?」と聞かれても「何を答えればいいの?」と思ってしまいますが、「30日以内に42.195km走れる様になってもらいたいのですが、現状はどうですか?」と聞かれれば、「無理です。10kmで吐きそうになります。」と答えられます。

今回は以降で目標設定の手順を具体的に紹介していきます。

目標設定の心得

目標を定めるときにはいくつか気をつけるべきポイントがあります。
例えば目標が曖昧だと振り返る時に達成したのかしてないのかわからなくなってしまいますし、
サラリーマンの目標が会社のミッションと紐付いてなければどれだけがんばって目標達成しても会社としては前に進んだことになりません。他にもいくつか注意すべきポイントがあるのですが、それらをまるっと回避する有効な方法として、「SMART」というフレームワーク[1]があります。

目標設定のフレームワーク「SMART」

S: Specific(具体的に)
誰が見てもわかる、具体的な表現で表す。
悪い例) 顧客に圧倒的な価値を提供する
良い例) 顧客平均単価を5,000円以上にする
M: Measurable(測定可能な)
目標の達成度合いが客観的にわかるよう、数値または測定可能な状態で表す。
悪い例) 全ての案件で事前に営業先情報の確認を徹底する(確認はしたかどうかが測定できない)
良い例) すべての案件で事前準備シートへの記入を行う(シートへの記入は保管場所を決めておけば数えられる)
A: Achievable(達成可能な)
夢や願望ではなく、現実的に達成が可能であること。達成可能性が低すぎる目標は逆にモチベーションの低下をもたらす。
ただし、注意が必要なのはスタッフ本人がやる気アピールのために高すぎる目標を掲げてしまうケース。こういう場合は「高い目標を掲げるのは素晴らしいけど、目標は責任を持つべき"約束"だけど大丈夫?この目標を会社に約束できる?」と聞いてみると良い。「できる。」と答えれば責任をもってもらえば良いし、「できない。」のであれば見直すべき。「できる。」と答えて大幅に達成できなかった場合は評価は大きく下げる。つい高い目標に向かって努力したことを評価したくなるが、約束を守らないことは会社に多大な迷惑をかける行為なのでそこは厳格に判断すべき。
R: Related(上位の目標に関連した)
営業マンであれば自分が所属する部署の目標、部署のマネージャであれば組織の目標と関連していること。でないと取り組む意味がない。
悪い例: 部署の目標が売上◯◯円なのに個人の目標が新規サービスの期中リリース
良い例: 部署の目標が売上◯◯円で、全スタッフの個人目標を合計すると部署の目標売上が達成されるようになっている
T: Time-bound(締切がある)
締切が決まっていること。でないといつ時点での達成を目指せばよいかわからないので進捗が順調かどうかを評価できない。
悪い例: 1人あたり単月売上を1,000万円にする
良い例: 9/30時点での過去30日間の1人あたり売上を1,000万円にする

目標設定の最適な期間

個人的には四半期をオススメします。組織によっては評価や給与計算の煩雑さなどから半年に1回を採用しているところもありますが、事業環境の変化や個人に求められる成長スピードを考えると、多くのケースで四半期が最適だと感じています。
組織の評価タイミングが半年に1回でも、チームだけで擬似的に四半期に1回目標設定と評価を行うことは運用によっては可能です。会社に報告する評価は四半期の評価を2回分合算して報告すればよいので、そこは自身の上長や人事部と相談する価値はあります。

手順1 目的を定める

基本的な目標設定に関する心得まで確認したところで、目標設定の手順について説明していきます。
目標設定をする際に重要なフレームワークSMARTは意外と難しく、おそらくはじめて使う人は何度かやり直しをすることになります。
その際にだんだんとSMARTに則した目標を設定することが目的になってしまい、「あれ?この目標を実現したとして何がハッピーになるんだっけ?」ということになりがちです。
それを回避するために目的を定めておく必要があります。もっというと、その目的を達成するとどんな景色になるのか、なるべく具体的なゴールイメージを湧かせておくと俄然やる気があがりますし、チームで仕事する場合意義が伝わりやすくなります。
例)
目的: 営業スタッフの生産性を上げるため
ゴールイメージ: 営業スタッフが煩雑な事務作業に忙殺されておらず、業務時間のほとんどを顧客とのコミュニケーションや業務設計に使えている状態
ここが上長と本人の間で合意できていると、目標設定の際にブレることが減ります。

手順2 目標を定める

目的とゴールイメージまでが定まれば、次に具体的な目標に落とし込んでいきます。

目標設定の条件

目標設定の際は先述のSMARTを満たすことはもちろんですが、その目標が達成されると目的が達成されると言えるものでなければなりません。
例えば業務改善をミッションとするスタッフの目的が「営業スタッフの生産性をあげるため」で目標が「業務マニュアルの作成」では、目標を達成しても目的が達成されるかどうかがわかりません。マニュアルが的を射ていない場合や、そもそも誰も見てくれない場合は営業スタッフの生産性に影響を与えないからです。この場合の目標は「営業スタッフが事務処理のやり方がわからないことで管理部に質問する回数を50回以下にする(前期は推定150回)」などが適切です。そのための施策としてよくある質問をマニュアルにまとめてそこを見ればすぐにわかるようにするといったことが挙げられるはずです。

どの程度の難易度にするか

あくまで目安ですが、現状の能力でギリギリ達成できないくらいの難易度にすることが望ましいです。
なぜなら期中にも能力は伸ばすべきだからです。
ではどのようにしてギリギリ達成できないくらいの難易度かどうかを判断するかというと、本人と上長の話し合いを通した合意です。本人のみで決めるのでも上長だけで決めるのでも適切な難易度になることはほとんどありません。

手順3 シートとしてアウトプットする

どの企業でも目標設定、評価の仕組みがある場合シートが用意されていると思いますが、以下の要件が満たされていない場合は定められたフォーマットとは別に自身で用意することをオススメします。

  • 成果目標を定められること
  • 同一シート内に目標に対する振り返りを記入できること
  • 本人の自己評価と、上長の評価を記入できること
  • 目標設定になかったが評価に値することを記入できること


以上が目標設定の手順です。不明な点などあればコメントで質問いただければ回答しますし、内容もブラッシュアップしていこうと思います。


参考文献

[1] 目標設定の5つのポイント「SMART」とは?【フレームワーク解説/意味・具体的な使い方】 | GLOBIS 知見録


【以下変更履歴】
9/13 初稿
9/19 「Achievable(達成可能な)」の項目内に高すぎる目標を掲げたがるメンバーへの対処を追記