ものづくりブログ

ゼロからスタートして何かを作って世に出すまでのことを書くブログです.

これさえ読めば資産運用の始め方がわかる記事

こんにちは。

最初にちょっと小話を。

1945年8月。太平洋戦争に負けて、国土を焼け野原にされてしまった日本ですが、アメリカに吸収されずに独立国家として再建する道を諦めませんでした。
でも大きな問題がありました。それはお金です。片っ端から建物建てたり道路整備したりしないといけないのに、戦争でお金使いまくっちゃってお金がない。
そこで、頭の良い日本の偉い人は、素晴らしい解決策を思いつきました。
国債をバンバン発行してお金を調達すればいいんだ。でも国民に国債買ってって言ってもなかなか買ってくれないから、銀行にお金を全部預けさせて、銀行に国債を買わせよう。そのために、「将来のために貯蓄をして安心な暮らしを」っていう刷り込みをしていこう!

と、こんな話があったかどうかはわかりませんが、日本人は世界的に見ても現金での貯蓄率が非常に高いという事実があります。

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図1. 国別の個人金融資産内訳比較(ソース: 世界の個人金融資産の内訳比較)

別に外国がこうだから日本もこうすべきって話ではないのですが、なぜ日本以外の国は比較的現金での貯蓄率が低いのか、ということは考える価値があるのではないでしょうか。

というわけで、今回はこのあたりについて考えていき、資産運用をすべきかどうか、するとすればどうやって始めるべきなのか、ということに触れていきたいと思います。

基礎知識

資産運用について考えるために必要な基礎知識が3つあります。
それは、複利、期待値、リスクです。
これらは必ず理解しないと、今後資産運用を考えるうえでものすごくハンデを背負うことになるので、ちょっとむずかしいですが理解していきましょう。

複利

複利というのは金利の一種です。対義語は単利です。複利と単利の違いは以下のとおりです。
複利: 元金だけでなく、利息分にも利息がつきます。つまり、100万円預けて利率(年)が10%だったら、1年後110万円、2年後121万円と増えていき、8年後にはなんと214万円と、2倍を超えます。
単利: 元金だけに利息がつきます。つまり、100万円預けて利率(年)が10%だったら、1年後110万円は複利と同じですが、2年後は120万円、8年後は180万円です。
このように、同じ利率でも複利と単利ではかなり利益の額が異なります。

実はこの複利ですが、かのアルバート・アインシュタイン博士が、「複利運用は人類最大の数学的発見」と述べたと言われています。感覚的にはそこまで大きな力に見えないかもしれませんし、だからこそ世の中には高い金利でお金を借りる人が後を絶たないわけですが、実質的にはとても大きな力を持っているのが複利だということでしょう。

今後資産運用について考えていく上で、この複利の力をいかに最大限活用するかというのが鍵になってきます。

期待値

期待値という言葉はもしかすると聞いたことがあるかもしれませんが、この正確な意味は意外と知られていません。
期待値というのは、確率を考慮した平均のことです。全然わかりませんよね。
具体例を用いて説明します。

例えば、くじを引いて出た金額をもらえるゲームがあったとします。くじは100本入っていて、1本が10,000円、3本が5,000円、6本が1,000円、90本がはずれで100円です。このくじが1回500円で引けますが引きますか?という問題を考えてみます。
このときに、単に得られる金額を足して100で割っても平均でいくらもらえるかというのが計算できないことは感覚的にわかると思います。
(10,000円 + 5,000円 + 1,000円 + 100円) ÷ 100 = あんまり意味がなさそう。。。

なぜこの計算に意味がないかというと、あたり金額ごとに入っている本数が異なるので、これらを考慮して確率を出してやる必要があるためです。10,000円は1本しか入っていないので1/100の確率でしか引くことができませんが、5,000円は3本入っているので3/100の確率で引くことができるため、10,000円の3倍の確率で引くことができるということです。
そこで、各金額のくじを引く確率を考えると、以下のようになります。
10,000円を引く確率: 1/100
5,000円を引く確率: 3/100
1,000円を引く確率: 6/100
100円を引く確率: 90/100

上記の金額と引く確率を掛けて、それらを全て足し、くじの本数で割ってやると、このくじを1回引いたときに平均でいくらもらえるのか、というのを計算できます。

10,000円 × 1/100 + 5,000円 × 3/100 + 1,000円 × 6/100 + 100円 × 90/100 = 400円

つまり、このくじは1回引くと平均で400円もらえるくじということになります。この400円のことを期待値と呼びます。

最初の問題は、1回500円で引ける場合引くべきか、というものでしたが、500円払って平均400円もらえるくじを引くのは割に合いませんよね。だからこのくじは引くべきでない、というのが模範解答となります。

リスク

リスクと言う言葉も期待値と同じく、使われる回数が多い割に正確な意味が知られていない言葉の代表格です。
リスクって日本語で言うとなんですか?と聞くとほとんどのケースで「危険」とか「危険性」と返ってきます。
もはやそういう意味で使われることも正しいのですが、本来はリスクと言うのは「不確実性」という意味です。
不確実性とは、どれだけ確実でないか、という意味ですが、これも非常にわかりづらいですね。例で説明します。
ビルの3階から飛び降りるのと、60階から飛び降りるのではどちらがリスク(不確実性)が高いでしょう?という問題を考えます。
ビルの3階から飛び降りるケースと60階から飛び降りるケースでは、それぞれどのような結果になり得るかを考えてみます。
3階から飛び降りた場合、死ぬこともありますが、大怪我で住む可能性も高いように思います。もし下に何かクッションになるものが置いてあったら軽傷で済むこともあるかもしれません。
一方で、60階から飛び降りた場合、結果はほぼ確実な死です。大怪我で済む可能性も軽傷で済む可能性も、ゼロとはいえませんが、途方もなく低い確率でしょう。
と、ここまで話したところで気づいたかもしれませんが、リスクを危険性と捉えたときにリスク(危険性)が高いのは60階から飛び降りたケースですが、リスクを不確実性と捉えたときにリスク(不確実性)が高いのは3階から飛び降りたケースです。なぜなら、60階から飛び降りたケースではほぼ確実に死ぬため、リスク(不確実性)が非常に低いからです。
今後この記事でリスクという言葉が出た場合は、全て不確実性を指すこととし、危険性を指す場合は括弧書きで(危険性)と記載するようにします。

ここまでわかったら今度はさっきのくじ引きについて適用して理解を深めてみましょう。
先ほどのくじ引きでは、500円の参加費で期待値が400円なので、くじ引きの運営者目線では儲かる確率が高いゲームとなっていました。
でも、1回目で万が一10,000円引かれてしまうと大損になってしまいます。どういうことかというと、運営者にとってはリスクの高いゲームなのです。運営者がこのゲームで家族を養っているのだとすれば、もしかすると大損するかもしれないというのは由々しき事態です。是非ともリスクを低くしたいと考えます。
では、このリスクを低くするにはどうすればいいでしょうか。
答えは、実行される回数を増やすことです。これも確率で説明ができます。
さきほどのくじ引きゲームで、1回引いたときに運営者が損する確率は10/100(=1/10)でした。なぜなら90個は100円しか支払わなくて良いくじで、引くために支払ってもらう500円より高いくじは10個入っているからです。
つまり、1回くじ引きが行われたときに運営者が損する確率は1/10です。
では2回くじ引きが行われたときに2回とも運営者が損する確率はどうでしょう。
答えは1/10 × 1/10で1/100です。同様に3回だと1/1000と、どんどん確率が低くなっていきます。
ちょっと乱暴な説明なのですが、要するに施行する回数が増えれば増えるほど結果は期待値に近づいていくという数学的法則があるのです。これを大数の法則と言います。この法則名は覚えなくても大丈夫ですが、これを理解しているかしていないかで大きく人生変わるくらいの知識なので、必ず理解しておきましょう。
以下の図(図2)はサイコロを振って1が出た確率をグラフにしたものですが、回数が増えれば増えるほど1/6に近づいていくのがわかります。

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図2. サイコロを振ったときに1が出た確率(ソース: 大数の法則とマーケティングデータ分析 - 株式会社エム・ワイ・エムコーポレーション)


さて、リスクとは不確実性のことだよ、リスクを下げるには施行する回数を増やすことが有効だよ、ということを述べてきました。
リスクについてはあと1個絶対に理解しておかねばらないことがあります。
それは、リスク・プレミアムという考え方です。
何かというと、「人間はリスクを嫌う。だからリスクが高い選択をしてもらうには少しプレミアムを付けないといけない」という意味です。
ここまで数学の話をしてきましたが、いきなり人間心理の話です。
ただし誰かが決めたルールや仕組みの話ではなく、根源的な人間の本能のようなものなので、強力にこの世を支配している考え方です。
例えるなら、先ほどのくじ引きが100本全部のくじが400円もらえるものに変わった場合に、期待値はかわらず400円なのに、運営者からするとこちらのほうがありがたい、ということです。(まあこんなくじ誰も引かないと思いますが)

リスクを減らすにはもう一個方法があります。それは、このくじ引き以外のビジネスを持つことです。そうすることで、くじ引きでは損しても、他のビジネスでカバーできる可能性があるのでリスクが減ります。これが100個位ビジネスを持って、それらの期待値がいずれもプラスであれば、損する確率は非常に低くなると考えられます。
ただし例外があって、複数のビジネスを持っていてもそれらが連動して確率変動する場合はリスク低減の手段にはなりません。
例えば寿司屋をやりながら魚屋さんをやるというのは、どちらも不漁が起こるとビジネスに大打撃を受けるので、連動して損失が出る可能性があると言えます。これはリスク低減の手段としてはよろしくない、ということです。(魚屋さんやりながら寿司屋をやるのは仕入れ力強化とかのメリットはありそうだけど、それはまた別のお話)

預金をするって要はどういうことなの?

基礎知識を押さえたところで、やっと本題に入っていきます。
日本には資産形成=銀行預金と考えている人が多くいますが、銀行にお金を預けるとは一体どういうことで、その裏側ではどういうことが起こっているのでしょうか。
個人が銀行にお金を預けると、銀行はそのお金を運用せねばなりません。なぜなら、預金には少ないながら利息がつきますし、ATMの設置費用や電気代もかかりますし、銀行員の給料も支払う必要があるからです。
では銀行はどのように運用しているか、というと、企業に貸し付けたりもしているのですが(半沢直樹っていうドラマが数年前に流行りましたよね)、そのほとんどは日本国債を購入しています。言い換えれば、日本という国に又貸ししているのです。
そう考えると、銀行に預けずに個人が直接日本国債を買ってもよさそうなものですし、そうした方が銀行の経費を引かれないので利息も多く貰えそうです。そして実際その通りなのですが、なぜやってないのかというと、みんな知らないからです。銀行に預ける方法は知っている人がほとんどですが、国債の買い方は知らない人がほとんどです。
単にこれだけを取り上げても知ってるか知らないかで大きく損得が変わってくることが伺えるのですが、選択肢は預金と国債購入だけではありません。ざっくり以下の選択肢があります。
預金(現金)、国債社債、株式、投資信託、不動産(REIT含む)、コモディティ、暗号通貨、などなど。
これら1個ずつ説明はしていきませんが、これだけの選択肢が世の中にある中、多くの日本国民はよく考えることもなく預金という選択肢を選ばされているということは強く認識しておくべきだと思いますし、よく考えて選ぶのと、無思考に選ばされているのではどちらのほうが自分にとって得になる可能性が高いか、というのは議論するまでもなく明確なのではないでしょうか。

結局どうすればいいの?

ここまで読んでいただいた方は、勉強したいかどうかは別として、どんな選択肢があってどの選択肢が自分にとってベストなのかは知りたくなっているのではないでしょうか。
それを面倒な勉強をせずに実現する方法があります。
それは実際に資産運用をしてみることです。
資産運用をするべきか、どうやるか考えるために選択肢について知りたいのに、そのために資産運用をするというのはどうも本末転倒な気がしてきますが、やはり実践に勝る経験はありません。
なので、本を買って資産運用について学ぶとか、そういうセミナーに出るとかではなく、まずは始めて見ることを強くおすすめします。私自身、大学時代に奨学金とバイトのダブルインカムであることを利用して4万円/月で運用したところ、それ以外の勉強らしい勉強はしていませんがブログで記事を書く程度には知識や考え方が身につきましたし、投資した金額も今ではかなり膨らんで、家計に余裕をもたらしてくれています。
とはいえ、よく知らないまま始めて大損をしては取り返しがつきません。立ち直れないほどの損をする可能性がゼロで、かつ効率的に資産運用や選択肢について知ることができる方法をご紹介します。

そのためにポイントとなるのは、

  • ノーロードで、信託報酬が安いインデックス型投資信託のみに絞る
  • 毎月積立式で資産運用を行う
  • 地域と資産クラスタをバラけさせる
  • 儲ける事を考えず、余裕資産で無理なく行う

ということです。一つずつ説明していきます。

ノーロードで、信託報酬が安いインデックス型投資信託のみに絞る

投資信託とは、その名の通り、投資を誰かに信託する(任せる)ものです。
つまり、投資家のお金を投資信託の運営者が株や債権などに投資してその利益を投資家に還元するというものです。
1個の投資信託を買っておくと複数の選択肢に投資してくれるので、リスクのところで述べた、リスクを低減するために複数の選択肢を併用する、ということが自動的になされることになります。
これが、初心者が投資信託を選ぶべき最も大きな理由です。
また、投資信託を購入する場合のコストは、購入する際の手数料、信託報酬、売るときの手数料の3つがかかります。
当然ですが、このコストが低いほうが利益の出る確率が上がります。
この中の購入する際の手数料がゼロ円のものが、ノーロードと呼ばれる投資信託です。
また、信託報酬はほぼ投資信託の運営者のコストに比例するため、なるべく運営者が楽をしている投資信託を買うべきです。
それが、インデックス型というものです。
投資信託は大きく分けて2種類あり、アクティブ型とパッシブ型に分けられます。
アクティブ型とは投資信託の運営者が積極的にどの銘柄を買うべきか、売るべきかを考えてその作戦どおり動きます。なので、この運営者(ファンドマネージャ)の報酬のために信託報酬が高くなります。
一方で、パッシブ型というのは、人間の意志を介在させず、純粋に市場の株を均等に買ったりして世の中の流れと同期するようにしているものです。TOPIX日経平均といった株式の指標に連動するように対象の銘柄の株を同数買い続けるといった戦略を決めて、機械的にそのとおりに実行し続けるのでファンドマネージャへの報酬が基本的に節約できます。
このため、購入手数料が無料で、信託報酬が安い、すなわちノーロードのインデックス型の投資信託がおすすめ、というわけです。

毎月積立式で資産運用を行う

今手元に100万円持っていても、一気に100万円を投資信託に変えるのではなく、毎月に分散して投資することをおすすめします。なぜなら、これもリスク低減のためです。
例えばAさんが今日100万円で投資信託を10個買ったとして、来月にはその10個が90万円の価値にになっている可能性があります。10万円損しました。
一方で、Bさんが今日50万円で投資信託を5個買って、来月45万円の価値になった場合、同じ数の投資信託を来月は45万円で買えることになるので、50万円投資すれば約5.6個買えることになります。100万円投資して、10.6個の投資信託を所有できました。
そのまた翌月、今度は10個で105万円の価値まで値上がりしました。このとき、Aさんは105万円分所有していますが、Bさんは10.6個もっているので111.3万円になっています。
つまり、毎月積み立て型で買うと、値下がりしたら多く買えて、値上がりしたら少なく買うことになり、結果的に自動的にリスクを低減する分散投資ができるのです。この方法をドルコスト平均法といいます。

地域と資産クラスタをバラけさせる

もうここまで読んだ方には説明不要かもしれませんが、投資信託を1銘柄に集中投資するのではなく、可能な限り様々な地域、種類に分けることをおすすめします。
例えば月に4万円投資するなら、国内株式、海外株式、国内債券、海外債権の4つに1万円ずつ毎月投資することをおすすめします。

儲ける事を考えず、余裕資産で無理なく行う

当然ですね。儲けるためにやるのではなく、自身の資産を適切に運用するためにやるのです。
もっと言えば、最初は学ぶためにやっているのです。
これによって生活が破綻しては元も子もないので、月々貯蓄に回せる余剰資金で資産運用は行いましょう。

どうやって始めたらいいの?

手順を書いていきます。
1. 証券口座を開く
何はともあれこれがないと始まりません。証券会社の比較は行ったのが非常に昔なので語れませんが、私が利用しているのはマネックス証券です。何不自由なく使えており、おすすめできる証券会社だと思います。

2. 積立サービスの申込
私は利用していませんが、つみたてNISAの利用も良いと思います。
証券会社の案内に従って積立ができる状態を作りましょう

3. 金額の決定
上記のとおり、毎月無理なく投資できそうな金額を決めましょう。

4. 銘柄の決定
まずは金額に合わせてどんな分散をするか決めましょう。次に具体的な銘柄を選定します。
ポイントはノーロードであること、インデックスであること、信託報酬がなるべく安いこと、です。

5. 購入手続き
証券会社の案内に従って購入しましょう。
積立型なら毎月銀行から自動で引き落として購入してくれるので、あとはほったらかすのみです。

6. 見たくなったら見る
特に毎週とか毎月とか決めて見なくとも、自然に気になります。自分のお金ですから。
そしたら見に行きましょう。増えたり減ったりしているはずです。
へー国内株式は下がってるけど海外株式は上がってるんだなーとか肌で感じるようになってきます。
そうなったら次はなんでなんだろう?といったように気になります。今までニュースや新聞で流れてても気にもとめなかったニュースが気になるようになってきます。なんせ自分のお金に直接関わりますから。