ちょこっと電気理論の話
こんにちは.
ラズパイでGPIOを使う話をちょこちょこと書いていますが(Raspberry PiでGPIOを使う(C言語),Raspberry PiでLチカしてみる 実践編),電気理論はそれだけで大学の講義90分×15回分くらいの内容があるので,ここで全てを語るのは無理があります.そこで,今回はかなり絞って,以下の項目について簡単に解説します.
1. 電圧,電流,および抵抗とは
2. オームの法則
3. 回路におけるグラウンドの話
1. 電圧,電流,および抵抗とは
この中でも電圧と電流は比較的よく聞く単語だと思いますが,それが何なのか正確に理解されていることは少ないと思います.
それぞれ一言で説明してしまうと,電流は物質中の電子の流れを表し,電圧は電流を流そうとする圧力を表し,抵抗は電流を妨げようとする力と表すことが出来ます.
エネルギ保存の法則があるので,抵抗は電流を妨げる,つまり電流のエネルギを消費することで何らかの仕事をするのですが,それは回転運動(モータ)だったり光(豆電球)だったり熱(ヒータ)だったりします.
抵抗が電流のエネルギを使って仕事をするというのはわかるのですが,
電圧や電流は目に見えないものなのでそれがどういうものなのかを理解するのはとても難しいと思います.
でもこれらを水に例えると結構わかりやすかったりします.
上の図は電気回路の図です.下の図はそれを水の流れに例えた図です.
電圧は水圧,電流は水の流れ,抵抗は水車,に例えることが出来ます.
水はポンプにより水圧が高められ,水車に向かって送り出されます.
電子は電源により電圧が高められ,抵抗側に向かって送り出されます.
水は水圧の高いところから低いところへ流れていきます(水の流れ).
電子は電圧の高いところから低いところへ流れていきます(電流).
水車を通ると水圧が下がりますが,水車の前後で流れる水の量は同じです.
抵抗を通ると電圧が下がりますが,抵抗の前後で流れる水の量は同じです.
水圧の差が無い場合も水はそこにありますが,水流は無いため水車は回りません.
電圧が0の場合電子はそこにありますが,電流は発生しないため抵抗は何もしません.
水路が途切れて行き止まりになっている(バルブが閉じていると)と水圧を上げても水は流れません.
回路が途切れていると(スイッチがOFFになっていると)電圧を上げても電流は流れません.
ここで最初に説明した以下の文章をもう1度見てみます.
それぞれ一言で説明してしまうと,電流は物質中の電子の流れを表し,電圧は電流を流そうとする圧力を表し,抵抗は電流を妨げようとする力と表すことが出来ます.
物質中には必ず電子が存在します.その流れが電流です.電子が存在するだけではなにも仕事をしませんが,それが一定方向に流れると仕事をするのは,水路で水の流れを使って水車が回るのに似ています.
また、電流はどのような作用によって流れるのかというと,それが電圧です.電圧の高いところから電圧の低いところに電流は流れます.ちょうど水圧の高いところから水圧の低いところに水が流れるのに似ています.
以上のように,水と電気の挙動は結構似ています.電圧と電流が出てきたらこの水の流れを思い出してください.多くの場合理解を助けてくれるはずです.
2. オームの法則
1で電圧,電流,抵抗の関係を説明しました.
まだ感覚的にはなかなか理解しづらいと思いますが,ずっと使っているうちに慣れてきます.
今度はどの程度の電圧でどの程度の電流が流れるかという話です.
これは以下の式で表されます.
V = RI
ただし,V: 電圧[V] R: 抵抗[Ω] I: 電流[A]
RIはR × Iと言う意味で、文字を連続で書くと方程式では掛け算を意味します.
このように電圧は電流と抵抗の掛け算で表されます.別の言い方をすると,電流は電圧を抵抗で割った値で表されます.つまり、抵抗が上がれば上がるほど電流は小さくなり,電圧が上がれば上がるほど電流は大きくなるわけです.
例として以下の回路を考えてみます.
この時に回路中を流れる電流を計算すると,オームの法則にしたがって下記の通りになります.
V = RI すなわち,
V/R = Iなので,
5V/1,000Ω = 0.005A = 5mA
※1kΩは1,000Ω
このように,この回路中を流れる電流が5mAであることが計算できました.
実際の回路は分かれ道があったり,複数の抵抗や電源があったりしてもっと複雑なのですが,オームの法則の基本はこれです.複雑な回路もオームの法則を元に計算しますので,これをまずは押さえておきましょう.
3. 回路におけるグラウンドの話
回路というのは行って戻ってきて回っている道ということで回路という名前がついています.このためよく見る回路図は下記の図のような形をしています.
ですが,回路がより複雑になって電源の数が増えてきたときなどは,電流の流れがわかりづらくなってきます.
回路において電流は電源から様々な経路を通って最後は電圧0のところに行きつきます.それは電池のマイナス側だったりすることがほとんどですが,実際に回路中の電流の終着点を全て電池のマイナス側に持って行くのは回路設計上大変なので,電圧0の領域を回路中に広めに作ってそこに接続するということをやります.下記の図は実例です.
これは実際のプリント基板の設計図です.黄色い細い線で囲まれている箇所は素子を表しています.そして黒く塗られている部分が配線ですが,基板の左から下端を通って右まで広く配線がとられている箇所があります.これが電圧0の領域です.ここを専門用語でグラウンドと呼びます.グラウンドに接続することをグラウンドに落とすなんて表現することもあります.
この理屈に則すると,回路図で電圧0の点を全て電源のマイナス側に繋ぐのは見づらいですし実用的ではありません.そこで実用上ほぼ100%使われている書き方が以下のような図です.
長さの違う平行線が3本引かれている箇所がグラウンドという意味で,GNDと表記したりします.他にも,以下のようなマークが使用されることもあります.
出展: EEWeb Design Library(http://www.eeweb.com/electronics-quiz/do-you-know-your-ground-symbols)
以降当ブログでは特別な理由が無い限りこの表記で回路図を描きます.
以上がラズパイでGPIOを使用するうえですぐに必要になりそうな知識です.もう少し進むと他にも必要な知識が出てくると思いますが、しばらくはこの知識をベースにものづくりをしていきましょう.
参考文献
特になし