ものづくりブログ

ゼロからスタートして何かを作って世に出すまでのことを書くブログです.

これさえ読めば資産運用の始め方がわかる記事

こんにちは。

最初にちょっと小話を。

1945年8月。太平洋戦争に負けて、国土を焼け野原にされてしまった日本ですが、アメリカに吸収されずに独立国家として再建する道を諦めませんでした。
でも大きな問題がありました。それはお金です。片っ端から建物建てたり道路整備したりしないといけないのに、戦争でお金使いまくっちゃってお金がない。
そこで、頭の良い日本の偉い人は、素晴らしい解決策を思いつきました。
国債をバンバン発行してお金を調達すればいいんだ。でも国民に国債買ってって言ってもなかなか買ってくれないから、銀行にお金を全部預けさせて、銀行に国債を買わせよう。そのために、「将来のために貯蓄をして安心な暮らしを」っていう刷り込みをしていこう!

と、こんな話があったかどうかはわかりませんが、日本人は世界的に見ても現金での貯蓄率が非常に高いという事実があります。

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図1. 国別の個人金融資産内訳比較(ソース: 世界の個人金融資産の内訳比較)

別に外国がこうだから日本もこうすべきって話ではないのですが、なぜ日本以外の国は比較的現金での貯蓄率が低いのか、ということは考える価値があるのではないでしょうか。

というわけで、今回はこのあたりについて考えていき、資産運用をすべきかどうか、するとすればどうやって始めるべきなのか、ということに触れていきたいと思います。

基礎知識

資産運用について考えるために必要な基礎知識が3つあります。
それは、複利、期待値、リスクです。
これらは必ず理解しないと、今後資産運用を考えるうえでものすごくハンデを背負うことになるので、ちょっとむずかしいですが理解していきましょう。

複利

複利というのは金利の一種です。対義語は単利です。複利と単利の違いは以下のとおりです。
複利: 元金だけでなく、利息分にも利息がつきます。つまり、100万円預けて利率(年)が10%だったら、1年後110万円、2年後121万円と増えていき、8年後にはなんと214万円と、2倍を超えます。
単利: 元金だけに利息がつきます。つまり、100万円預けて利率(年)が10%だったら、1年後110万円は複利と同じですが、2年後は120万円、8年後は180万円です。
このように、同じ利率でも複利と単利ではかなり利益の額が異なります。

実はこの複利ですが、かのアルバート・アインシュタイン博士が、「複利運用は人類最大の数学的発見」と述べたと言われています。感覚的にはそこまで大きな力に見えないかもしれませんし、だからこそ世の中には高い金利でお金を借りる人が後を絶たないわけですが、実質的にはとても大きな力を持っているのが複利だということでしょう。

今後資産運用について考えていく上で、この複利の力をいかに最大限活用するかというのが鍵になってきます。

期待値

期待値という言葉はもしかすると聞いたことがあるかもしれませんが、この正確な意味は意外と知られていません。
期待値というのは、確率を考慮した平均のことです。全然わかりませんよね。
具体例を用いて説明します。

例えば、くじを引いて出た金額をもらえるゲームがあったとします。くじは100本入っていて、1本が10,000円、3本が5,000円、6本が1,000円、90本がはずれで100円です。このくじが1回500円で引けますが引きますか?という問題を考えてみます。
このときに、単に得られる金額を足して100で割っても平均でいくらもらえるかというのが計算できないことは感覚的にわかると思います。
(10,000円 + 5,000円 + 1,000円 + 100円) ÷ 100 = あんまり意味がなさそう。。。

なぜこの計算に意味がないかというと、あたり金額ごとに入っている本数が異なるので、これらを考慮して確率を出してやる必要があるためです。10,000円は1本しか入っていないので1/100の確率でしか引くことができませんが、5,000円は3本入っているので3/100の確率で引くことができるため、10,000円の3倍の確率で引くことができるということです。
そこで、各金額のくじを引く確率を考えると、以下のようになります。
10,000円を引く確率: 1/100
5,000円を引く確率: 3/100
1,000円を引く確率: 6/100
100円を引く確率: 90/100

上記の金額と引く確率を掛けて、それらを全て足し、くじの本数で割ってやると、このくじを1回引いたときに平均でいくらもらえるのか、というのを計算できます。

10,000円 × 1/100 + 5,000円 × 3/100 + 1,000円 × 6/100 + 100円 × 90/100 = 400円

つまり、このくじは1回引くと平均で400円もらえるくじということになります。この400円のことを期待値と呼びます。

最初の問題は、1回500円で引ける場合引くべきか、というものでしたが、500円払って平均400円もらえるくじを引くのは割に合いませんよね。だからこのくじは引くべきでない、というのが模範解答となります。

リスク

リスクと言う言葉も期待値と同じく、使われる回数が多い割に正確な意味が知られていない言葉の代表格です。
リスクって日本語で言うとなんですか?と聞くとほとんどのケースで「危険」とか「危険性」と返ってきます。
もはやそういう意味で使われることも正しいのですが、本来はリスクと言うのは「不確実性」という意味です。
不確実性とは、どれだけ確実でないか、という意味ですが、これも非常にわかりづらいですね。例で説明します。
ビルの3階から飛び降りるのと、60階から飛び降りるのではどちらがリスク(不確実性)が高いでしょう?という問題を考えます。
ビルの3階から飛び降りるケースと60階から飛び降りるケースでは、それぞれどのような結果になり得るかを考えてみます。
3階から飛び降りた場合、死ぬこともありますが、大怪我で住む可能性も高いように思います。もし下に何かクッションになるものが置いてあったら軽傷で済むこともあるかもしれません。
一方で、60階から飛び降りた場合、結果はほぼ確実な死です。大怪我で済む可能性も軽傷で済む可能性も、ゼロとはいえませんが、途方もなく低い確率でしょう。
と、ここまで話したところで気づいたかもしれませんが、リスクを危険性と捉えたときにリスク(危険性)が高いのは60階から飛び降りたケースですが、リスクを不確実性と捉えたときにリスク(不確実性)が高いのは3階から飛び降りたケースです。なぜなら、60階から飛び降りたケースではほぼ確実に死ぬため、リスク(不確実性)が非常に低いからです。
今後この記事でリスクという言葉が出た場合は、全て不確実性を指すこととし、危険性を指す場合は括弧書きで(危険性)と記載するようにします。

ここまでわかったら今度はさっきのくじ引きについて適用して理解を深めてみましょう。
先ほどのくじ引きでは、500円の参加費で期待値が400円なので、くじ引きの運営者目線では儲かる確率が高いゲームとなっていました。
でも、1回目で万が一10,000円引かれてしまうと大損になってしまいます。どういうことかというと、運営者にとってはリスクの高いゲームなのです。運営者がこのゲームで家族を養っているのだとすれば、もしかすると大損するかもしれないというのは由々しき事態です。是非ともリスクを低くしたいと考えます。
では、このリスクを低くするにはどうすればいいでしょうか。
答えは、実行される回数を増やすことです。これも確率で説明ができます。
さきほどのくじ引きゲームで、1回引いたときに運営者が損する確率は10/100(=1/10)でした。なぜなら90個は100円しか支払わなくて良いくじで、引くために支払ってもらう500円より高いくじは10個入っているからです。
つまり、1回くじ引きが行われたときに運営者が損する確率は1/10です。
では2回くじ引きが行われたときに2回とも運営者が損する確率はどうでしょう。
答えは1/10 × 1/10で1/100です。同様に3回だと1/1000と、どんどん確率が低くなっていきます。
ちょっと乱暴な説明なのですが、要するに施行する回数が増えれば増えるほど結果は期待値に近づいていくという数学的法則があるのです。これを大数の法則と言います。この法則名は覚えなくても大丈夫ですが、これを理解しているかしていないかで大きく人生変わるくらいの知識なので、必ず理解しておきましょう。
以下の図(図2)はサイコロを振って1が出た確率をグラフにしたものですが、回数が増えれば増えるほど1/6に近づいていくのがわかります。

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図2. サイコロを振ったときに1が出た確率(ソース: 大数の法則とマーケティングデータ分析 - 株式会社エム・ワイ・エムコーポレーション)


さて、リスクとは不確実性のことだよ、リスクを下げるには施行する回数を増やすことが有効だよ、ということを述べてきました。
リスクについてはあと1個絶対に理解しておかねばらないことがあります。
それは、リスク・プレミアムという考え方です。
何かというと、「人間はリスクを嫌う。だからリスクが高い選択をしてもらうには少しプレミアムを付けないといけない」という意味です。
ここまで数学の話をしてきましたが、いきなり人間心理の話です。
ただし誰かが決めたルールや仕組みの話ではなく、根源的な人間の本能のようなものなので、強力にこの世を支配している考え方です。
例えるなら、先ほどのくじ引きが100本全部のくじが400円もらえるものに変わった場合に、期待値はかわらず400円なのに、運営者からするとこちらのほうがありがたい、ということです。(まあこんなくじ誰も引かないと思いますが)

リスクを減らすにはもう一個方法があります。それは、このくじ引き以外のビジネスを持つことです。そうすることで、くじ引きでは損しても、他のビジネスでカバーできる可能性があるのでリスクが減ります。これが100個位ビジネスを持って、それらの期待値がいずれもプラスであれば、損する確率は非常に低くなると考えられます。
ただし例外があって、複数のビジネスを持っていてもそれらが連動して確率変動する場合はリスク低減の手段にはなりません。
例えば寿司屋をやりながら魚屋さんをやるというのは、どちらも不漁が起こるとビジネスに大打撃を受けるので、連動して損失が出る可能性があると言えます。これはリスク低減の手段としてはよろしくない、ということです。(魚屋さんやりながら寿司屋をやるのは仕入れ力強化とかのメリットはありそうだけど、それはまた別のお話)

預金をするって要はどういうことなの?

基礎知識を押さえたところで、やっと本題に入っていきます。
日本には資産形成=銀行預金と考えている人が多くいますが、銀行にお金を預けるとは一体どういうことで、その裏側ではどういうことが起こっているのでしょうか。
個人が銀行にお金を預けると、銀行はそのお金を運用せねばなりません。なぜなら、預金には少ないながら利息がつきますし、ATMの設置費用や電気代もかかりますし、銀行員の給料も支払う必要があるからです。
では銀行はどのように運用しているか、というと、企業に貸し付けたりもしているのですが(半沢直樹っていうドラマが数年前に流行りましたよね)、そのほとんどは日本国債を購入しています。言い換えれば、日本という国に又貸ししているのです。
そう考えると、銀行に預けずに個人が直接日本国債を買ってもよさそうなものですし、そうした方が銀行の経費を引かれないので利息も多く貰えそうです。そして実際その通りなのですが、なぜやってないのかというと、みんな知らないからです。銀行に預ける方法は知っている人がほとんどですが、国債の買い方は知らない人がほとんどです。
単にこれだけを取り上げても知ってるか知らないかで大きく損得が変わってくることが伺えるのですが、選択肢は預金と国債購入だけではありません。ざっくり以下の選択肢があります。
預金(現金)、国債社債、株式、投資信託、不動産(REIT含む)、コモディティ、暗号通貨、などなど。
これら1個ずつ説明はしていきませんが、これだけの選択肢が世の中にある中、多くの日本国民はよく考えることもなく預金という選択肢を選ばされているということは強く認識しておくべきだと思いますし、よく考えて選ぶのと、無思考に選ばされているのではどちらのほうが自分にとって得になる可能性が高いか、というのは議論するまでもなく明確なのではないでしょうか。

結局どうすればいいの?

ここまで読んでいただいた方は、勉強したいかどうかは別として、どんな選択肢があってどの選択肢が自分にとってベストなのかは知りたくなっているのではないでしょうか。
それを面倒な勉強をせずに実現する方法があります。
それは実際に資産運用をしてみることです。
資産運用をするべきか、どうやるか考えるために選択肢について知りたいのに、そのために資産運用をするというのはどうも本末転倒な気がしてきますが、やはり実践に勝る経験はありません。
なので、本を買って資産運用について学ぶとか、そういうセミナーに出るとかではなく、まずは始めて見ることを強くおすすめします。私自身、大学時代に奨学金とバイトのダブルインカムであることを利用して4万円/月で運用したところ、それ以外の勉強らしい勉強はしていませんがブログで記事を書く程度には知識や考え方が身につきましたし、投資した金額も今ではかなり膨らんで、家計に余裕をもたらしてくれています。
とはいえ、よく知らないまま始めて大損をしては取り返しがつきません。立ち直れないほどの損をする可能性がゼロで、かつ効率的に資産運用や選択肢について知ることができる方法をご紹介します。

そのためにポイントとなるのは、

  • ノーロードで、信託報酬が安いインデックス型投資信託のみに絞る
  • 毎月積立式で資産運用を行う
  • 地域と資産クラスタをバラけさせる
  • 儲ける事を考えず、余裕資産で無理なく行う

ということです。一つずつ説明していきます。

ノーロードで、信託報酬が安いインデックス型投資信託のみに絞る

投資信託とは、その名の通り、投資を誰かに信託する(任せる)ものです。
つまり、投資家のお金を投資信託の運営者が株や債権などに投資してその利益を投資家に還元するというものです。
1個の投資信託を買っておくと複数の選択肢に投資してくれるので、リスクのところで述べた、リスクを低減するために複数の選択肢を併用する、ということが自動的になされることになります。
これが、初心者が投資信託を選ぶべき最も大きな理由です。
また、投資信託を購入する場合のコストは、購入する際の手数料、信託報酬、売るときの手数料の3つがかかります。
当然ですが、このコストが低いほうが利益の出る確率が上がります。
この中の購入する際の手数料がゼロ円のものが、ノーロードと呼ばれる投資信託です。
また、信託報酬はほぼ投資信託の運営者のコストに比例するため、なるべく運営者が楽をしている投資信託を買うべきです。
それが、インデックス型というものです。
投資信託は大きく分けて2種類あり、アクティブ型とパッシブ型に分けられます。
アクティブ型とは投資信託の運営者が積極的にどの銘柄を買うべきか、売るべきかを考えてその作戦どおり動きます。なので、この運営者(ファンドマネージャ)の報酬のために信託報酬が高くなります。
一方で、パッシブ型というのは、人間の意志を介在させず、純粋に市場の株を均等に買ったりして世の中の流れと同期するようにしているものです。TOPIX日経平均といった株式の指標に連動するように対象の銘柄の株を同数買い続けるといった戦略を決めて、機械的にそのとおりに実行し続けるのでファンドマネージャへの報酬が基本的に節約できます。
このため、購入手数料が無料で、信託報酬が安い、すなわちノーロードのインデックス型の投資信託がおすすめ、というわけです。

毎月積立式で資産運用を行う

今手元に100万円持っていても、一気に100万円を投資信託に変えるのではなく、毎月に分散して投資することをおすすめします。なぜなら、これもリスク低減のためです。
例えばAさんが今日100万円で投資信託を10個買ったとして、来月にはその10個が90万円の価値にになっている可能性があります。10万円損しました。
一方で、Bさんが今日50万円で投資信託を5個買って、来月45万円の価値になった場合、同じ数の投資信託を来月は45万円で買えることになるので、50万円投資すれば約5.6個買えることになります。100万円投資して、10.6個の投資信託を所有できました。
そのまた翌月、今度は10個で105万円の価値まで値上がりしました。このとき、Aさんは105万円分所有していますが、Bさんは10.6個もっているので111.3万円になっています。
つまり、毎月積み立て型で買うと、値下がりしたら多く買えて、値上がりしたら少なく買うことになり、結果的に自動的にリスクを低減する分散投資ができるのです。この方法をドルコスト平均法といいます。

地域と資産クラスタをバラけさせる

もうここまで読んだ方には説明不要かもしれませんが、投資信託を1銘柄に集中投資するのではなく、可能な限り様々な地域、種類に分けることをおすすめします。
例えば月に4万円投資するなら、国内株式、海外株式、国内債券、海外債権の4つに1万円ずつ毎月投資することをおすすめします。

儲ける事を考えず、余裕資産で無理なく行う

当然ですね。儲けるためにやるのではなく、自身の資産を適切に運用するためにやるのです。
もっと言えば、最初は学ぶためにやっているのです。
これによって生活が破綻しては元も子もないので、月々貯蓄に回せる余剰資金で資産運用は行いましょう。

どうやって始めたらいいの?

手順を書いていきます。
1. 証券口座を開く
何はともあれこれがないと始まりません。証券会社の比較は行ったのが非常に昔なので語れませんが、私が利用しているのはマネックス証券です。何不自由なく使えており、おすすめできる証券会社だと思います。

2. 積立サービスの申込
私は利用していませんが、つみたてNISAの利用も良いと思います。
証券会社の案内に従って積立ができる状態を作りましょう

3. 金額の決定
上記のとおり、毎月無理なく投資できそうな金額を決めましょう。

4. 銘柄の決定
まずは金額に合わせてどんな分散をするか決めましょう。次に具体的な銘柄を選定します。
ポイントはノーロードであること、インデックスであること、信託報酬がなるべく安いこと、です。

5. 購入手続き
証券会社の案内に従って購入しましょう。
積立型なら毎月銀行から自動で引き落として購入してくれるので、あとはほったらかすのみです。

6. 見たくなったら見る
特に毎週とか毎月とか決めて見なくとも、自然に気になります。自分のお金ですから。
そしたら見に行きましょう。増えたり減ったりしているはずです。
へー国内株式は下がってるけど海外株式は上がってるんだなーとか肌で感じるようになってきます。
そうなったら次はなんでなんだろう?といったように気になります。今までニュースや新聞で流れてても気にもとめなかったニュースが気になるようになってきます。なんせ自分のお金に直接関わりますから。

目標設定のやり方詳細【マネジメント】

こんにちは。

最近自分で手を動かすだけでなく組織のマネジメントを本格的に行うようになったので、方法を明文化していっています。
今回と次回では仕事をする際に必ずはじめに取り掛かるべき仕事、「目標設定」と「現状把握」について触れます。
なぜこれらをはじめに行うべきかというと、仕事というのは現状と目標のギャップを埋める行動だからです。つまり目標と現状が明確でない状態で行っている仕事は、行き先がわかってない状態で旅に出ているのと同じで、うまくいくかどうかがわからないどころか、何を持ってうまくいっているかも判断できないという完全迷走状態への第一歩です。そういう場合大体ちょっと進んだところで、「あれ?私何やってるんだっけ?」となります。

では目標設定と現状把握はどちらから行うべきでしょう。答えは目標設定です。なぜなら、現状把握といっても何の現状を把握すべきか最初はわからないので、先に目標を定めて、そこと比較して今がどうか、という観点で見る必要があるからです。
例えばいきなり「現状はどうですか?」と聞かれても「何を答えればいいの?」と思ってしまいますが、「30日以内に42.195km走れる様になってもらいたいのですが、現状はどうですか?」と聞かれれば、「無理です。10kmで吐きそうになります。」と答えられます。

今回は以降で目標設定の手順を具体的に紹介していきます。

目標設定の心得

目標を定めるときにはいくつか気をつけるべきポイントがあります。
例えば目標が曖昧だと振り返る時に達成したのかしてないのかわからなくなってしまいますし、
サラリーマンの目標が会社のミッションと紐付いてなければどれだけがんばって目標達成しても会社としては前に進んだことになりません。他にもいくつか注意すべきポイントがあるのですが、それらをまるっと回避する有効な方法として、「SMART」というフレームワーク[1]があります。

目標設定のフレームワーク「SMART」

S: Specific(具体的に)
誰が見てもわかる、具体的な表現で表す。
悪い例) 顧客に圧倒的な価値を提供する
良い例) 顧客平均単価を5,000円以上にする
M: Measurable(測定可能な)
目標の達成度合いが客観的にわかるよう、数値または測定可能な状態で表す。
悪い例) 全ての案件で事前に営業先情報の確認を徹底する(確認はしたかどうかが測定できない)
良い例) すべての案件で事前準備シートへの記入を行う(シートへの記入は保管場所を決めておけば数えられる)
A: Achievable(達成可能な)
夢や願望ではなく、現実的に達成が可能であること。達成可能性が低すぎる目標は逆にモチベーションの低下をもたらす。
ただし、注意が必要なのはスタッフ本人がやる気アピールのために高すぎる目標を掲げてしまうケース。こういう場合は「高い目標を掲げるのは素晴らしいけど、目標は責任を持つべき"約束"だけど大丈夫?この目標を会社に約束できる?」と聞いてみると良い。「できる。」と答えれば責任をもってもらえば良いし、「できない。」のであれば見直すべき。「できる。」と答えて大幅に達成できなかった場合は評価は大きく下げる。つい高い目標に向かって努力したことを評価したくなるが、約束を守らないことは会社に多大な迷惑をかける行為なのでそこは厳格に判断すべき。
R: Related(上位の目標に関連した)
営業マンであれば自分が所属する部署の目標、部署のマネージャであれば組織の目標と関連していること。でないと取り組む意味がない。
悪い例: 部署の目標が売上◯◯円なのに個人の目標が新規サービスの期中リリース
良い例: 部署の目標が売上◯◯円で、全スタッフの個人目標を合計すると部署の目標売上が達成されるようになっている
T: Time-bound(締切がある)
締切が決まっていること。でないといつ時点での達成を目指せばよいかわからないので進捗が順調かどうかを評価できない。
悪い例: 1人あたり単月売上を1,000万円にする
良い例: 9/30時点での過去30日間の1人あたり売上を1,000万円にする

目標設定の最適な期間

個人的には四半期をオススメします。組織によっては評価や給与計算の煩雑さなどから半年に1回を採用しているところもありますが、事業環境の変化や個人に求められる成長スピードを考えると、多くのケースで四半期が最適だと感じています。
組織の評価タイミングが半年に1回でも、チームだけで擬似的に四半期に1回目標設定と評価を行うことは運用によっては可能です。会社に報告する評価は四半期の評価を2回分合算して報告すればよいので、そこは自身の上長や人事部と相談する価値はあります。

手順1 目的を定める

基本的な目標設定に関する心得まで確認したところで、目標設定の手順について説明していきます。
目標設定をする際に重要なフレームワークSMARTは意外と難しく、おそらくはじめて使う人は何度かやり直しをすることになります。
その際にだんだんとSMARTに則した目標を設定することが目的になってしまい、「あれ?この目標を実現したとして何がハッピーになるんだっけ?」ということになりがちです。
それを回避するために目的を定めておく必要があります。もっというと、その目的を達成するとどんな景色になるのか、なるべく具体的なゴールイメージを湧かせておくと俄然やる気があがりますし、チームで仕事する場合意義が伝わりやすくなります。
例)
目的: 営業スタッフの生産性を上げるため
ゴールイメージ: 営業スタッフが煩雑な事務作業に忙殺されておらず、業務時間のほとんどを顧客とのコミュニケーションや業務設計に使えている状態
ここが上長と本人の間で合意できていると、目標設定の際にブレることが減ります。

手順2 目標を定める

目的とゴールイメージまでが定まれば、次に具体的な目標に落とし込んでいきます。

目標設定の条件

目標設定の際は先述のSMARTを満たすことはもちろんですが、その目標が達成されると目的が達成されると言えるものでなければなりません。
例えば業務改善をミッションとするスタッフの目的が「営業スタッフの生産性をあげるため」で目標が「業務マニュアルの作成」では、目標を達成しても目的が達成されるかどうかがわかりません。マニュアルが的を射ていない場合や、そもそも誰も見てくれない場合は営業スタッフの生産性に影響を与えないからです。この場合の目標は「営業スタッフが事務処理のやり方がわからないことで管理部に質問する回数を50回以下にする(前期は推定150回)」などが適切です。そのための施策としてよくある質問をマニュアルにまとめてそこを見ればすぐにわかるようにするといったことが挙げられるはずです。

どの程度の難易度にするか

あくまで目安ですが、現状の能力でギリギリ達成できないくらいの難易度にすることが望ましいです。
なぜなら期中にも能力は伸ばすべきだからです。
ではどのようにしてギリギリ達成できないくらいの難易度かどうかを判断するかというと、本人と上長の話し合いを通した合意です。本人のみで決めるのでも上長だけで決めるのでも適切な難易度になることはほとんどありません。

手順3 シートとしてアウトプットする

どの企業でも目標設定、評価の仕組みがある場合シートが用意されていると思いますが、以下の要件が満たされていない場合は定められたフォーマットとは別に自身で用意することをオススメします。

  • 成果目標を定められること
  • 同一シート内に目標に対する振り返りを記入できること
  • 本人の自己評価と、上長の評価を記入できること
  • 目標設定になかったが評価に値することを記入できること


以上が目標設定の手順です。不明な点などあればコメントで質問いただければ回答しますし、内容もブラッシュアップしていこうと思います。


参考文献

[1] 目標設定は「SMART」に | GLOBIS 知見録 - 読む


【以下変更履歴】
9/13 初稿
9/19 「Achievable(達成可能な)」の項目内に高すぎる目標を掲げたがるメンバーへの対処を追記

顧客開発って結局何なの?

こんにちは。

リノベるに入社して2年、「Connectly Lab.」、「Connectly App」、「リノベる。App」という3つのプロダクトをリリースしてきました。いずれも顧客開発という*1概念を重視して作ってきました。ときが経つに連れて手法に慣れてきて、この度4個目のプロダクトに臨んでいる中で、かなり顧客開発についての理解が深まったので、書き留めておこうと思います。

顧客開発とは

顧客開発とは、売れる製品を作るための(現状発見されている中で)最も低コストかつ低リスクで行える手法だと理解しています。

例えば、最高のエンジニアを揃えて最短で最低コストで製品を完成させたとして、誰も買ってくれなかったらそれまでのすべての活動は無駄です。
でも確実に買ってくれることがわかっていれば、そこそこのエンジニアを揃えて非効率的に製品を作っても、全く買われない製品を作るよりはましと言えます。
顧客開発とは、確実に買ってもらえる製品が何かを発見するための活動です。

顧客開発の目的

顧客開発では、以下の4つを発見することを目的とします。
- 顧客は誰か?
- 顧客の課題は何か?
- 顧客はその課題を解決するためにお金や時間を使うか?

  • どのような製品をどのように提供すれば課題を解決してもらえるか?

例えば、ティッシュペーパーの場合、
顧客: 生活者
課題: 何かをこぼしたり鼻水が出てきたら困る
支払うか: 1枚0.5円位はお金を支払う
製品: 薄い紙をコンビニで売る
となります。

もっとWEBっぽい事例を挙げるなら、Googleは以下のとおりです。
顧客: PCやスマホユーザー
課題: ちょっとした情報を調べるのにわざわざ百科事典を引いたり詳しい知り合いに聞くのが面倒
支払うか: お金は払わないけどブラウザのトップページをGoogleにして一日に数回は訪れる
製品: キーワードを入力すると関連するWEBサイトを0.000001秒くらいで返してくれるWEBサービス

卑近な例を出せば、「リノベる。」は
顧客: 生活の質を重視していて経済合理性を求める初めて住宅を購入する人
課題: 新築だと購入した直後からガンガン資産価値が下がってしまうことと内装が画一的で面白くないこと支払うか: 新築より安く買える代わりに物件探しや内装のプランづくりに時間と手間を使う
製品: 物件探し、ローン、リノベーションの1ストップサービスにWEBで集客
といえると思います(宣伝)。

ではこれら4個の真実を知るために、私たちはどんな活動をすればいいのでしょうか?

顧客開発の具体的な手法

顧客開発とよく混同されるのは、アンケートや市場調査です。ほとんどの場合、顧客開発でアンケートや市場調査が役立つ事はありません。少なくとも私は役に立っているのを見たことがありません。
その理由は簡単で、顧客は自分の持っている課題に気づいていない事がほとんどだからです*2。例えば顧客に、自宅のセキュリティに課題はありますか?と聞いたらほとんどの場合あると答えますし、その課題を解決するために室内カメラのような製品があったら役に立ちますか?と聞けば役に立つと答えます。でも買ってくれるかといえばほとんどの場合NOであることは、製品を開発したことがある人であれば全員が頷くのではないでしょうか。
また、顧客開発が必要なケースでは多くの場合課題はおろか顧客が誰かもわかっていないので、市場調査は実施しようがありません。20年前にスマホ市場を調べたらおそらく0円だったと思いますが、それがそのままスマホビジネスは儲からないという結論にはつながらないという意味です。

さて、それでは正しい顧客開発の手法について述べます。顧客開発は以下の3ステップで行います。

  • 仮説立案
  • 観察
  • 学習

具体例を示して説明していきます。
仮説は、学生やサラリーマンは自宅に帰った時、カバンの奥に入ってしまった鍵を探すのに苦労している、だとします。
次に観察です。ここでアンケートや市場調査を行ってしまいがちですが、そこは無駄な時間と労力を使わないためにもこらえて、仮想顧客を観察してみましょう。今回のケースで言えば、玄関ドアが大通りに面しているマンションの前で夕方3時間くらい張り込むのが良いでしょうか。そうすれば多分1日に数十件の顧客を観察できるはずです。するとなんと40%の人が10秒以上カバンに手を突っ込んでから鍵を発見していたことがわかったとします。
ここから学習できたことは、意外と多くの人が鍵がすぐに見つからないと言う課題を抱えていることと、ただ見つからないとは言え10秒というごく短い時間であったということです。

次はまた仮説に戻ります。
仮説: カバンに手を突っ込んでから鍵を探す人は、スマホで解錠できる機能があれば鍵を探さずに済む
観察: モーター、両面テープ、Bluetoothモジュール、電池を組み合わせて、玄関の鍵をスマホから開閉できるプロトタイプを作成し(細かいこと気にしなければ数万円で作れるはず)、上記の悩みを抱えている人に使ってみてもらったところ、「スマホはたしかにいつもポケットに入っているから探す手間は省けたが、スマホBluetoothを認識するまで待つので不便なのと、施錠時は普通の鍵を玄関で取って手に持っているのでスマホを使わない」という意見が出た
学習: スマホは鍵のようにカバンの奥にしまいこんでいない。Bluetoothの接続待ちがストレスになる。施錠時はスマホを使うメリットがない

再度仮説に戻ります
仮説: スマートロックを使っている人は、Bluetoothではなくインターネット経由にしたら玄関の前に到着する前に解錠操作をするので玄関前で待つことなくすぐに家に入れる。また、施錠は解錠後20秒くらいで自動でされるようにすれば便利
観察: Bluetoothの代わりに3G/LTE回線のモジュールを積んで、さらに自動施錠機能を追加した改良版プロトタイプを使ってもらったところ、「超便利。毎日使ってる。もはや普通の鍵を使うことがなくなった。」という回答を得た
学び: この製品にはニーズがある

仮説: この製品に1個あたり20,000円の対価を支払ってくれる
観察: クラウドファンディングに掲載して反応を見る…
つづく

となります。顧客開発とは、仮説、観察、学習のステップをなるべく早くぐるぐる回す活動なのです。

顧客開発 = 製品開発?

上記の例で、顧客開発をしているのに製品ができあがっていっていることに気づかれたでしょうか?
顧客開発は観察を重視するため、あるタイミングで必ず製品を開発する必要が出てきます。
これがスタートアップ界隈でよく聞く、MVP(Minimum Viable Product 実用最小限の製品)*3です。
おそらく上記の製品がリリースされたあとは、両面テープが剥がれて解錠できなくなっちゃったけど鍵持ち歩いてなかったから入れないとか、電池切れてたみたいな問題が発生しているので、それもある意味観察と学習で、次の仮説: ドアにビルトインされていて、コンセントから電源が供給されて予備電源としてLi-ion電池が積まれていれば緊急事態を避けられるという仮説が出てくるのでしょう。
顧客開発のループをくるくる回していれば、自然と製品ができあがり、かつブラッシュアップされていくというわけです。

顧客開発のデメリット

顧客開発を始める段階では、顧客が誰かもわかっていませんし、市場がどこかもわかっていません。
つまり、どの程度利益が出るのか、どの程度の売上が見込めるのかが全く検討もつかないのです。そしてそれ自体は問題はありません。なぜならまだこの世に無い事業を起こすとはそういうことだからです。

問題なのは、まだ日本に顧客開発という考えが広まっていないので、新たに事業を始めるとなると綿密な事業計画を提出させられることです。市場規模はどれくらいで、その何%をいつ時点で獲得するのか?そしてそれまではどのような方法で進めるのか?
この事業計画はどのように作ればいいのでしょうか?
残念ながら顧客開発の手法で事業を立ち上げる場合、これに対する解はありません。これが顧客開発のデメリットです。

日本は新たなものを生み出すのが苦手で、その代わり人のマネがうまいということを数十年前からずっと言われています。また、最近も消費者向け製品ではもう諸外国の企業に白旗を上げている日本の大企業が、Tesla社の自動車に積むバッテリーや、iPhoneに積むカメラのセンサや、Googleが作る製品向けの液晶おアネルで採用されて大きな利益を見込んでいます。いずれも能動的に市場を開拓したのではなく、TeslaやAppleGoogleが優れた技術を探してくれたおかげで日の目を見たケースです。

これらの現実は日本に顧客開発の概念が根付いていないために起こっているのだと私は考えています。逆に言えば、日本の経済界が顧客開発さえ理解すれば、日本は世界でも類を見ない経済大国になる可能性があるのです。

まとめ

顧客開発さえ理解して実践できれば誰でも優れた製品を世に出せる可能性があるよ。